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台風一過☆「風立ちぬ」に寄せて

 美しい、と感じてしまうのは罪深いでしょうか。台風という荒ぶる神に浄められた空。未だ青い欅の梢越しに降る光が金色で、あんまりあんまりピカピカだったので、そんなことを思っていました。
 
 風の音は、台風よりも吹雪を思い起させます。「表で遊んではいけないよ」と言い渡され、おびえて眠った子供の頃を。翌朝、氷の花の咲く窓ガラスの向こうに、燦然と煌めく雪原を目にしたときの歓びと微かな痛み。
 この下に、不用意な犠牲者が何人埋まっているのかと。


木の根の中2

 私が現在暮らす縄文遺跡が点在するエリアは、災害とはほぼ無縁です。ヒトが危険な水辺に住むようになったのは、稲作文化が波及する弥生以降なのだとか。私達の文明は、とうの昔に災害と共に暮らすことを選んでしまっているのだけれど。

 この痛みは、「風立ちぬ」の堀越二郎、あるいは宮崎駿さんの痛みに似ているかもしれません。彼が兵器が好きで、飛行機が大好きだけど戦争が大嫌いっていう噂が、本当なのだとしたら。
 生あるものすべては、死すべき定め。ヒトが死んで悲しいのも、罪を感じるのも人間だけ。けれど、死と破壊が悪とされている現実の前で、死の傍らにあるもの・自然や兵器を美しいと言ってはいけない気がして、胸が痛くなるのです。


飛行機雲
飛行機雲

 「僕は美しい飛行機(映画)を作りたいんです」と語る二郎(宮崎さん)。

 美しいモノって、神様の世界に少しだけ近いような気がします。
 例えば、神の数式。すべての存在の根源、宇宙の始まりを表す数式の発見は、物理学者達の夢なのだとか。彼等は熱く語ります。それは、シンプルで美しいものに違いないと。

 この作品、このストーリーを紡ぎ出すのは、宮崎さんにとってさぞ辛い経験だったことでしょう。ファンタジーを棄て、主人公を大人の男、それも彼と同じ「裏方の技術者」にしてしまったので。
 ヒトが物語というものを欲っする理由のひとつは、良いトシの大人、まして男には言えないこと、出来ないことを、主人公にさせられる点にあります。女の子なら、思いっきり泣いても怒ってもいい。ヒーローなら、恥ずかしい正論を振りかざして戦える。だけどそれが、実際の歴史の中の自分に似たヒトとなると、どうしていいのか分からない。
 どうやって生きればいいのでしょう。災害と戦争だらけの残酷な時代を。「彼」は自ら飛ぶヒーローではなく、裏方の一人に過ぎないのだから。

 自分の内面に向き合う辛さは、瞑想の修行者こそがよく知っています。自分の内側に、見たくないものや聞きたくないものが、いっぱい詰まっているのではないか。それを他人に知られるのではないか。そんな恐怖やプライドが、照れくささとして現れてきます。でも「言わなくても分かるからいいだろ」みたいな言葉不足、表現不足の作品では、物語が力を失ってしまう。そこが、彼の頑張りどころだった訳です。

 内なるものがそんな「悪魔」でなくて神=真我だよって伝えられたらいいのに。私にとっての辛さは、私の当たり前が他人のになる当たり前ではないことです。他人の無意識の当たり前まで遡って、もう一度言葉に焼き直さないと、言葉不足になる気がして。それでさえ苦しい作業です。

 本当の堀越二郎は、パイロットが生きて帰れる飛行機を作ることにこだわった人だったとか。ゼロ戦の自爆攻撃を知って大泣きしたそうです。
 やっぱり!と私は思いました。兵器を作ると決めた以上、彼の手は汚れているのだけれど、守りたい真義はちゃんとある。家族に犠牲を強いる仕事人間(宮崎さん?)にもきっと。
 ベタな別れの涙は要らないけれど、「妻との最期の時間を犠牲にして、美しい飛行機を作ったんだぞ。それを人殺しと自殺の道具にするな」と言っちゃって良かったんです。泣いても良かったんです二郎(宮崎さん)。

 それでも、素敵に美しい映像を見せて貰えました。美しいものには、それだけで心を打つ力があります。神の作品もヒトの作品も、すべては自然の理の中、永劫回帰の流れの中にしっかり抱かれているのだと、思い出させてくれるから。
 そこに辿りつくために、何を愛して何を犠牲にして生きたのか、もうちょっときっちりと語る言葉を聴けたらもっと素敵なのにと、アニメ大好きな私は思っています。

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テーマ : スピリチュアルライフ
ジャンル : 心と身体

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Who‐kuちゃん

Author:Who‐kuちゃん
20世紀インドの大聖者ラマナ・マハルシ、聖地アルナーチャラとの深い縁を支えに、宗教も哲学も超えて行きます。真の自分をみつけるお手伝いが出来たらいいなあ。
私はわたし。
いつだって幸せ。

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