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私は誰か知りたくて6―兵士の沈黙

 日本の8月は戦争を反省する季節です。繰り返し繰り返し、忘れたくても忘れられないように、繰り返し…。
 そんな話、とっくに知っているから止めて! そう言うつもりだったのに、65年目にして初めてある事実を突きつけられました。
 母の父、十数年前に何も語らずに逝ったお祖父さんの戦争。

 「お祖父さんは、近衛の経験もある長身のハンサムで、エリート部隊だったの。終戦時には米軍捕虜で、シベリアと違って待遇がよくて元気で」そんな風に無邪気に話していた母。母でさえ知らない事実が、地方限定のテレビ番組で淡々と語られました。
 それは、戦争の悪い部分を全部積め込んだ、胸の悪くなるような戦いでした。兵士の80%近くが戦死。軍事的には全滅に近い大敗北です。そんなヒドイ思いをしたなんて、聞いてないよ!

 ルソン島に十七連隊が入ったのは昭和20年1月のこと。既に食料は不足し、現地のフィリピン人との食料の奪い合いが発生していました。熱帯の森に散開して守る軍隊を、米軍の支援を受けたフィリピン人ゲリラが、襲います。地の利を生かしたゲリラのだまし討ち、見せしめの惨殺等に、一人また一人と倒れる兵士。攻撃は四六時中、いつ始まるとも知れません。ついに、司令官はゲリラの掃討作戦を命じました。ゲリラの潜む村の虐殺です。女も子供も老人も…。9万人が虐殺されました。9万!?

 米軍が上陸し、現地フィリピン人を先頭に、兵士等をさらに追い詰めていきます。圧倒的に不利な戦局の中、背嚢に爆弾を詰めた兵士を戦車に突撃させる自爆作戦まで行われたとか。しかしほとんど成功せず、ついに全軍が完全に包囲される日が来ました。
 全員玉砕を覚悟したそうです。しかし、玉砕は許可されず、30キロほど先のバナハオ山へ転進=敗走となりました。米軍はもちろん、恨まれている現地フィリピン人の目も避けての辛い敗走でした。
 逃げて逃げて、どうにか山へ辿り着いた彼らを、今度は飢餓が襲います。バナハオ山には調達できる食料は無かったのです。洞窟に籠ってのゲリラ戦を行っていたと記録にありますが、実態はもう壊滅状態だったようです。疲れ果て、心まで凍りついた兵士等は、仲間が倒れていくのを黙って眺めているしかなかったと…死んだ仲間を食べる者もいたと伝えられています。
 終戦の情報を認めて降伏したのは9月末。捕虜になって飢えから救われた後も、試練は続きます。捕虜収容所をフィリピン人が何人も訪ねてきました。家族を殺した仇を見つけるために。告発されて、裁判無しでその場で絞首刑になった兵士は20人以上と云われています。

 辛い戦争。これがありふれた第二次大戦の実態で、戦争だからしかたなかった? 私が祖父を赦しても、虐殺された人の家族に、赦してなんて言えるわけがない。

 祖父は、ラッキーだったのでしょうか。否、ラッキーだけでは生き残れない。良い人だけしていて、生き残れるはずはない。虐殺を拒否すれば命令違反で自分が殺される。奪わなければ、自分が飢える。

 祖父は恋愛結婚でした。村の青年団が旅先でお世話になった家の娘を見染めて、ぜひにと望んでの結婚だったそうです。祖母は10人兄弟の末っ子。(兄の半数は戦死)背が高くてハンサムな青年と、ふんわりあどけない瞳をした少女の、似合いの夫婦でした。
 愛妻と3人の幼い子の待つ故郷へ、何が何でも生き抜いて帰る。殺しても奪っても、戦友が目の前でばたばた倒れても、きっと帰ってやる。そうだよね、お祖父さん。そのために生き抜いたんだよね。

 沈黙の重さ。カルマの重さ。
 私だって、過去世で兵士として人を殺したことがあるだろう。殺せと命じた側かもしれない。
 修行の最大の障害のひとつ、逃れられない運命といえるのが、過去世のカルマです。自分の欠点に気付けば終わるとか、神様に預けてほっとけ等々云われても、心乱さずにはいられない。
 この苦しみは、一体いつのカルマなのだろうかと。

 自分の罪の重さを知っている悪人、罪人はきっと許される。仏教でもキリスト教でも。それを知っていてもなお、圧倒される歴史の重さ。

 ラマナは、第二次大戦とインド独立戦争の時代の人でした。
「何故、君たちは、私が何もしてないのかと思うのですか?」それが答えです。
 祈りや瞑想の力を、私は信じないでどうする!? 

 お祖父さん、話して欲しかったよ。私達には、自分の愚かさを知る義務があるから。
 でも、もういい。いいんだからね。

 この祈りが、巨大な潮の流れを変える最後の一滴となりますように。
 すべての魂に安らかな眠りが訪れ、真実の幸いに辿り着きますように。

 

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テーマ : スピリチュアルライフ
ジャンル : 心と身体

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Who‐kuちゃん

Author:Who‐kuちゃん
20世紀インドの大聖者ラマナ・マハルシ、聖地アルナーチャラとの深い縁を支えに、宗教も哲学も超えて行きます。真の自分をみつけるお手伝いが出来たらいいなあ。
私はわたし。
いつだって幸せ。

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